その他の担保権(2)…仮登記担保

前回説明した所有権留保という担保は、主として、動産の売り買いで用いられることが多い方法です。これは、ひとつには、宅地建物の取引業者が所有権留保による不動産の販売を禁止していることも理由とされています。
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そこで、不動産の売り買いの場合には、「仮登記担保(かりとうきたんぽ)」という方法が用いられることになります。仮登記担保は、所有権留保とは異なり、原則どおり、不動産の売買契約と同時に、その不動産は買主の物になります。

けれども、買主が代金を支払わなければ、売主がその所有権を取り戻すことができるように、登記簿にその物を取り戻すことができる権利を記載しておくのです。

登記簿に記載することで、後日、その物を取り戻す権利を確保するため、仮登記担保が利用できるのは、不動産など、登記簿に権利の記載ができるものに限られます。

icon-arrow-circle-o-right 例えば、Aさんが、B不動産から、5000万円の土地を毎月20万円の分割払いで買ったとします。完済までは、20年以上かかりますから、その間に、Aさんが支払えなくなることもないわけではありません。

そこで、B不動産としては、土地の登記簿に、将来の「所有権移転請求権(しょゆうけんいてんせいきゅうけん)」を仮登記しておいて、Aさんが土地の代金の支払が滞った場合には、この仮登記を本登記にすることで、Aさんから土地を取り戻すことができるため、Aさんにとっては、代金の支払を促されるという効果を持つことになるのです。

現在は、「仮登記担保法(かりとうきたんぽほう)」という特別の法律が、仮登記担保の手続を定めています。

しかし、この法律では、仮登記担保が設定された場合に、未払の金額と不動産の価格との差額を清算する義務など、抵当権が設定された不動産と同様の処理をすることとしました。

icon-arrow-circle-o-right この結果、仮にAさんが代金の支払を怠った場合であっても、一定期間の間に支払いをすることで、仮登記を本登記に改めることを阻止する「受戻(うけもどし)」も可能となりました。

icon-hand-o-up 他方で、抵当権が設定された不動産を、競売にかけることなく、直接、抵当権者の物とすることができる「抵当直流」(第23回「契約による担保権(11)…抵当直流と清算義務」をご覧ください。)が認められています。

それにより、仮登記担保が設定された不動産を、直接売主の物とすることのできる「私的実行(してきじっこう)」とも差がなくなってしまい、仮登記担保の利用は減少傾向にあります。

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