契約による担保権(12)…担保不動産収益執行

第18回「契約による担保権(6)…抵当権の実行」で説明したように、抵当権を設定して、お金を借りた人が、期日までにお金を返さない場合、お金を貸した人は、抵当権が設定された不動産を競売にかけて、貸したお金の回収を図ることになります。

しかし、抵当権が設定された不動産の価格が下がってしまって、競売にかけても、十分な落札価格が期待できない場合、お金を貸している債権者としては、抵当権を実行しても損をするだけです。

icon-arrow-circle-right そうかといって、貸したお金の回収を図る必要がある以上は、何かの手を打たなければなりません。
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特に、抵当権が設定された不動産が、マンションだったり、オフィスビルだったりして、毎月一定の賃貸料が見込める場合には、この賃貸料を返済に充ててもらいたいと考えるのが自然です。

そこで、法律は、お金を貸している人の申立てによって、賃貸料から、貸したお金の返済をさせる手続を認めました。これを、「担保不動産収益執行(たんぽふどうさんしゅうえきしっこう)」といいます。

icon-hand-o-up 例えば、Aさんが、マンションを経営するため、B銀行から1億円を借り入れて、その経営するマンションの建物に抵当権を設定しました。

マンションの建物の時価は、当初1億円だったのですが、年を経るごとに価格が下がっていき、10年後には7000万円程度になってしまいました。

ところが、このころからAさんは、借りているお金の返済に窮するようになって、B銀行に対してはもとより、Aさんにお金を貸している他の金融機関や、マンションの修繕を担当している工務店などにも、なかなか期限通り支払ってくれなくなってしまいました。

icon-arrow-circle-right 一方、マンションの部屋はほぼ満室で、Aさんには毎月200万円程度の家賃収入があります。

このような場合、Aさんにお金を貸しているB銀行や、Aさんのマンションの修繕を手掛けた工務店など、Aさんに貸付や債権のある人たちは、いきなりマンションを差し押さえて競売にかけるのではなく、裁判所に担保不動産収益執行の手続を申し立てて、この家賃を差し押さえ、返済に充てるよう求めることができるのです。

icon-hand-o-up この場合、Aさんの手元には家賃収入が入って来なくなりますから、Aさんがほかに借りたお金の返済のめどが立たない場合には、最終的にはAさんはお金を返すことができなくなり、抵当権が実行されて、建物は競売されてしまうかも知れません。

けれども、景気が上向いて建物の時価が反転上昇したり、また、Aさんの別の事業が好転して、再び支払いができるようになれば、競売の手続に進まなくても済む点で、お金を貸し借りしている当事者の間では、比較的穏便な解決方法であるとも思われます。

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