契約による担保権(11)…抵当直流と清算義務

第18回「契約による担保権(6)…抵当権の実行」で説明したとおり、期日までに借りたお金を返さなければ、その担保のために抵当権が設定された不動産は競売にかけられてしまいます。
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裁判所の競売の情報はインターネットでも閲覧することができますし、時々、新聞などに広告を出していたりするので、どこかで目にされた方もあるかもしれません。

 icon-arrow-circle-right しかし、抵当権の対象となるのは、不動産など高額でなかなか処分が難しい財産が多く含まれます。

それに、「競売」という響きには、「借金のカタに取り上げられた財産」という、どことなく好ましくないイメージが付きまとうため、思ったよりも低い金額で落札されることも少なくないのです。

それならば、抵当権の実行として競売にかけるよりも、いっそのこと、抵当権の設定された不動産を、お金を貸している債権者の物にしてしまえば、面倒がなくて良いと思われる場合もあるでしょう。

抵当権の設定された不動産の場合には、このように、不動産を債権者に引き渡すことで、借り入れの弁済に充てることをあらかじめ契約しておくということが、法律上認められています。これを「抵当直流(ていとうじきながれ)」といいます。

 icon-hand-o-up 例えば、A社がB社から3000万円を借り入れて、A社名義の時価5000万円の土地に抵当権を設定した場合に、A社が期日にお金を返さない場合には、その土地をB社に引き渡す旨の合意を、予めしておくことができるのです。

これは、借入金を返す代わりに、不動産で返済するという意味を持つものですから、法律で認められている「代物弁済(だいぶつべんさい)」と同じ機能を抵当権にも認めようという趣旨だと考えられています。

ところが、同じような担保権であっても、「質権(しちけん)」(質権については、第14回から第16回にかけて説明しました)の場合には、このような契約は、原則として認められていません。この点が、抵当権と質権の違いの一つです。

 icon-hand-o-up さて、先ほどの例で、A社が、期日までにお金を返さなければ、B社は約束通り、抵当権を設定した土地を手に入れることになりますが、ここで注意が必要です。

それは、実際に借りたお金と、担保を設定した土地の価格との間に差があるときは、これを清算しなければならないのです。

A社が借りたお金は3000万円で、B社が手に入れた土地の値段は5000万円ですから、抵当直流としてB社がこの土地を手に入れたとしても、B社は、差額の2000万円をA社に清算金として返さなければならないことになります。

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