契約による担保権(10)…抵当権消滅請求

抵当権が設定されている不動産を持っていると、いつ、抵当権を実行されて、不動産を失うことになるかもしれず、抵当権が設定されている不動産を持っている人は、法律的にも、また気分的にも、不安定な立場にあります。

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icon-arrow-right できれば、抵当権を消してしまいたいと思うのが人情というものでしょう。

抵当権が設定された不動産の時価が、借入金の残額を上回っているときは、第三者弁済という方法で、逆に、抵当権の設定された不動産の価格が下落しているときは、抵当権者が言い出しっぺになって、代価弁済という方法で抵当権を消すことができる場合があることは、前回、「契約による担保権(9)…第三者弁済と代価弁済」で説明しました。

しかし、実はもう一つ、「抵当権消滅請求(ていとうけんしょうめつせいきゅう)」という、抵当権が設定された不動産を買った人が、抵当権者に抵当権を消すように求める手続があるのをご存知でしょうか。この手続は、かつては、「滌除(てきじょ)」と呼ばれていました。

滌除の手続によれば、抵当権は確実に消滅しますが、滌除を求める不動産の買受人にとっても、また、抵当権者にとっても、負担が大きく、抵当権が設定されている不動産の価格を押し下げる効果もあるという問題があって、2003年の法律改正によって、現在の制度に改められました。

icon-hand-o-up 抵当権消滅請求とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。まず、この手続は、抵当権が設定された不動産の買受人のみが求めることができます。次に、抵当権が設定された不動産の価格の評価額を算出します。

そして、いくつか必要な書類をそろえたうえで、抵当権者に対して、「買受人の言い値で抵当権を消滅させる」か、「抵当権の実行」を迫るのです。

icon-arrow-circle-right 例えば、Aさんが、B銀行から5000万円を借り入れ、自分名義の時価6000万円の土地に抵当権を設定したとします。ところが、この土地の値段が2000万円も下がって、現在では4000万円となってしまいました。

その後、Aさんは、Cさんにこの土地を500万円で売りました。この場合、抵当権消滅請求の手続を行うことができるのは、土地の買受人であるCさんのみです。

そして、Cさんは、B銀行に対して、「4000万円を払うから抵当権を消してくれ」ということができるのです。

B銀行は、Cさんの求めに応じて、4000万円で抵当権を消すのか、それとも抵当権を実行してその土地を競売にかけるかの選択を迫られることになるのです。

もちろん、B銀行が、5000万円で他に売ることができれば、Aさんに貸した5000万円を回収することができますが、時価4000万円の土地ですから、逆に3500万円でしか売れないかも知れません。

icon-arrow-right そうすると、Cさんから4000万円を払ってもらった方が得ということになるわけです。

ここはB銀行の判断によることになるわけですが、もし、B銀行がCさんの要求を受け入れれば、Cさんは、4000万円を支払うことで、5000万円を担保していた土地の抵当権を消滅させることができることになるのです。

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