契約による担保権(9)…第三者弁済と代価弁済

「契約による担保権(7)…抵当権の効力が及ぶ範囲」で、抵当権の設定された不動産がなくなってしまったときには、抵当権も消滅するけれども、その不動産に保険などがかけられていて、保険金を受け取った場合などには、その保険金などに抵当権の効力が及ぶことを説明しました。

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icon-hand-o-up では、抵当権の設定された不動産を売った場合には、その代金にも抵当権が及ぶのでしょうか。

法律や最高裁判例では、これについて明確に示したものはないようですが、一般には、抵当権を設定した不動産を売った代金には抵当権は及ばないと考えられています。

その根拠とされるのが、第三者弁済(だいさんしゃべんさい)代価弁済(だいかべんさい)という制度の存在です。第三者弁済というのは、抵当権によって担保される借金の額が、不動産の額より小さい場合に利用される制度です。

icon-arrow-circle-o-right 例えば、AさんがB銀行から3000万円を借り入れて、Aさん名義の時価4000万円の土地に抵当権を設定した場合を考えてみます。

Cさんが、Aさんの借金を返済する代わりに、Aさんからこの土地を譲ってもらう方法をとれば、Cさんは、時価4000万円の土地を3000万円で手に入れることができます。Cさんは、Aさんからみると第三者に当たるので、このような方法を第三者弁済と呼んでいるのです。

icon-hand-o-up これに対して、借金の額が、不動産の時価よりも大きいときは、どうなるのでしょうか。

通常、抵当権のような担保権は、借金の返済を促すことを目的として設定されますから、担保権よりも借金の額のほうが大きければ、借金を返すなど、ばかばかしいと思うのが合理的です。
icon-arrow-right (例えば、100円ライターを担保に、1万円を借りたような場合を考えてみれば、その意味は明らかです。)

けれども、不動産の値段は、変動することが少なくありません。借金を返すまでに、不動産の時価の方が安くなってしまうことも珍しいことではないのです。

このような場合には、お金を貸している側は、できるだけ早いうちに借金を回収してしまおうと考える傾向があります。

icon-arrow-circle-o-right 例えば、AさんがB銀行から5000万円を借りていたところ、この担保として抵当権を設定していた土地の値段が下落して、時価が4500万円になってしまったとします。

放っておくと、地価はもっと下がるかも知れませんし、Aさんは借金を返さなくても、失うのは4500万円の土地ですから、借金を踏み倒してしまおうかと思うかも知れません。

そこで、B銀行は、「4500万円払ってくれたら、抵当権を消してあげますよ」と提案することができます。もし、AさんがそれでOKと言って4500万円をB銀行に返せば、抵当権は消滅します。これを、借金の代わりに支払うという趣旨で代価弁済と呼んでいるのです。

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