契約による担保権(8)…転抵当

「契約による担保権(4)…転質」で説明した転質と同様、抵当権も、更に、これに抵当権を設定することができます。これを「転抵当(てんていとう)」といいます。

money_bag_yen

抵当権は、不動産など、高額の物に設定されるものですから、通常は、借りたお金の返済は相当長期間にわたるはずです。

この間に、抵当権者(=お金を貸していた人)の資金繰りが変化することはありますし、そのために、抵当権を担保として、抵当権者が、更に他の人からお金を借りる方法として、転抵当という手続が法律で認められているのです。

転抵当も、転質と同様に、抵当権を設定した債務者(=もともとお金を借りていた人)の権利を保護しなければなりません。

icon-arrow-circle-right 例えば、転抵当がなされると、そのことは登記簿に記載されて、債務者に通知が行くことになっています。このため、債務者は、誰にお金を返せばよいのかが分かるようになっているのです。

また、債務者の、借入金の額や返済期日も、最初に設定された抵当権の条件どおりであって、転抵当がなされた後になってから、突然繰り上げ返済や返済額の増額などを求められることもありません。例を挙げて説明します。

A社が、B社から、2012年6月末日に返済する約束で5000万円を借り入れて、A社名義の時価6000万円の土地に抵当権を設定しました。

この場合、A社は、B社に対しては、債務者であって、抵当権設定者でもあります。これに対して、B社は、債権者であって、抵当権者でもあるということになります。

その後、B社は、C銀行から、2011年12月末日に返済する約束で1億円の融資を受けるかわりに、A社に対する抵当権に、抵当権を設定しました。

icon-hand-o-up この場合の、B社による抵当権の設定を「転抵当」といい、B社が転抵当権設定者、C銀行が転抵当権者となります。

そして、A社が担保に供した土地の登記簿に、転抵当がされた事実が記載されるとともに、B社からA社に対して、転抵当の設定が通知されるということになります。

この例だと、B社がC銀行にお金を返す日のほうが、A社がB社にお金を返す日よりも早いのですが、A社は、B社との間で約束した2012年6月末日までにC銀行に5000万円を返済すればよく、また返済する額も、B社から借りた5000万円で良いことになります。

このページの先頭へ