契約による担保権(7)…抵当権の効力が及ぶ範囲

それでは、抵当権を設定した場合、その効力は、どの範囲にまで及ぶのでしょうか。例えば、Aさんが、B銀行から1000万円を借りる際に、時価3000万円の自分名義の自宅建物に抵当権を設定した場合を例に考えてみます。

(1)抵当権が付けられた不動産を売り払った場合

この自宅建物を、AさんがCさんに売り払ってしまいました。この場合、抵当権はどうなるのでしょうか。抵当権は、それが設定された不動産にくっついて取引されるという性質があります。これを、「随伴性(ずいはんせい)」といいます。

icon-arrow-circle-right Aさんが、Cさんに自宅建物を売り払った場合、抵当権は、その自宅建物にくっついてCさんのもとに行きますから、AさんがB銀行にお金を返さないと、Cさんのものになっているはずの建物は、B銀行に取り上げられてしまうことになるのです。

ですから、通常は、Cさんは、AさんがB銀行から借り入れている金額を差し引いた額で、建物を買うことになるでしょう。

(2)畳替えをしたりエアコンを取り付けたりした場合

Aさんは、自宅建物に抵当権を設定した後、自宅の畳替えをしたり、エアコンを取り付けたりしました。AさんがB銀行にお金を返さず、抵当権が実行された場合、畳やエアコンはどうなるのでしょうか。
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icon-hand-o-up まず、エアコンなど、それ自体が取り外し可能で、独立した財産としての価値を持つものであれば、抵当権は及ばないと考えられています。

これに対して、畳については、様々な考え方がありますが、家を買ったり借りたりする場合には、畳も一緒についてくるのが通常であることを考えれば、畳には抵当権が及んでいると考えてよいのではないでしょうか。

(3)家が火災に遭ったとき

抵当権が設定された不動産がなくなると、抵当権も一緒に消滅します。例えば、抵当権を設定した家が倒れてしまったり、土地が、土砂崩れで流されてしまったりすれば、それらの不動産に設定された抵当権も一緒になくなってしまうのです。

icon-question-circle ところで、先ほどの例で、Aさんの自宅が火事で全焼しました。けれども、Aさんは、火災保険に入っていたので、保険金を貰うことができたとします。この場合も、抵当権は消滅するのでしょうか。

不動産がなくなった代わりに、保険金や補償金などを貰った場合には、それらのお金に対して、抵当権が及ぶこととなりますから、Aさんがお金を返さなければ、B銀行はこの保険金を差し押さえて、貸金の回収を図ることができることになります。

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