契約による担保権(6)…抵当権の実行

抵当権は、一つの不動産にいくつも設定することができます。これは、「契約による担保権(3)…質権の設定と存続」で質権について説明したのと同じです。

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icon-hand-o-up 一つの不動産に、二つ以上の抵当権が設定された場合、抵当権の設定者(=お金を借りている人)が期限までにお金を返せないときは、抵当権の順番が早い人から貸したお金を回収することができるのです。

設定された抵当権の数や貸したお金の金額で按分されるわけではありません。例えば、Aさんの持っている土地の時価が6000万円、自宅建物の時価が3000万円だったとします。

icon-arrow-circle-right Aさんが、B銀行から5000万円を借りて、土地に5000万円分の1番目の抵当権を設定し、翌年、Aさんは、C銀行から3000万円を借りて、同じ土地に3000万円分の2番目の抵当権を設定しました。

この抵当権の設定は、土地の登記簿に記載されますから、B銀行が、5000万円の貸金について1番抵当権を、またC銀行が、3000万円の貸金について2番抵当権を持っていることが、登記簿を見ればわかるように明示されるわけです。

もし、Aさんが、期限までに、B銀行にもC銀行にもお金を返さなければ、A銀行もB銀行も、抵当権に基づいてこの土地を売り、その売買代金を、貸したお金の穴埋めに使うことができるのです。これを「抵当権の実行(ていとうけんのじっこう)」といいます。

この場合には、A銀行とB銀行は、それぞれいくらの額を回収できるのでしょうか。先ほど少し触れたように、抵当権は、設定の順番が早い人から、優先的に貸金を回収することができます。

icon-arrow-circle-right 従って、時価6000万円の土地に1番目の抵当権を付けたA銀行が、まず、貸金である5000万円を回収し、次に、2番目に抵当権を付けたB銀行が残りの1000万円を回収することができます。

そして、B銀行がAさんに貸したのは3000万円のうち、2000万円の貸金は、無担保の貸金として残されることになるのです。もちろん、B銀行は、貸金の残りである2000万円を、Aさんの他の財産から回収することはできます。

例えば、Aさんには、ほかにも時価3000万円の自宅建物がありますから、裁判でこれを差し押さえて売り払い、2000万円を回収することも可能なのですが、Aさんがほかにお金を借り入れていた場合には、全額を回収することができない場合もある得るのです。

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