契約による担保権(5)…抵当権とは何か

今回から、「抵当権(ていとうけん)」という権利について説明していきます。抵当権という言葉は、どこかで耳にされたことがあるかも知れません。抵当権というのも法律が定める担保権の一つで、質権と同様に、契約によって成立するものです。
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icon-hand-o-up 質権が、質物を質権者に引き渡す担保であり、動産、不動産、債権など、あらゆるものに設定可能なのに対して、抵当権は、引き渡しを必要としません。

また、基本的には、抵当権は、不動産のみに設定することができます。但し、特別な法律がいくつか定められていて、飛行機や工場の機械、財団などについても設定が可能とされています。

icon-arrow-circle-o-right 質権の場合も、不動産に質権を設定するには、登記を必要としていますが、持ち運びのできる動産は、質権者に引き渡すことで、事実上、質権者が誰であるかを明らかにすることができました。

しかし、抵当権は、物の引き渡しを必要としないため、登記など、何らかの公示方法が認められているものしか、設定ができないのです。

icon-hand-o-up 例えば、自分名義の自宅の土地と建物を持っているAさんがお金を借りる場合を例に説明します。

抵当権は、お金を借りる際に、不動産に設定します。抵当権の設定は登記簿に記載されますから、お金を貸そうとする人は、登記簿を見ることによって、抵当権を設定する不動産について、いくらの貸し付けが行われているのかを確かめることができるのです。

Aさんが、B銀行から1000万円を借りようとする場合、Aさんの持っている土地の時価が6000万円、家の時価が3000万円であれば、Aさんは、土地と家のいずれかを抵当に入れることができます。

この「抵当に入れる」ことを「抵当権の設定」といい、Aさんが抵当権設定者、B銀行が抵当権者となります。

icon-arrow-circle-o-right 抵当権を設定したとしても、その所有者は相変わらずAさんですから、抵当権者は、Aさんがお金を返してくれる限り、基本的には、Aさんには何も文句は言えないのですし、お金を全額返済すれば、抵当権の設定登記を抹消することも当然にできます。

お金を返し切った場合には、法律上は、抵当権は消滅しますが、登記簿に記載されている抵当権は、手続をしなければそのまま記載が残ったままとなります。

その後にお金を借り入れたりする場合には、お金を貸し借りする当事者同士で具体的な話をすることになりますから実害はまずありませんが、抵当権の抹消にはそれほど費用もかかりませんし、折角、全額完済したのであれば、抵当権の設定の記載を抹消した方が気分的にはすっきりします。

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