契約による担保権(3)…質権の設定と存続

前回、質権とはどういうものかについて、説明しました。それでは、質権を設定するには、どうしたらよいのでしょうか。

icon-arrow-circle-o-right 動産質の場合は、口約束でも設定は可能です。しかし、質権の性質上、質物となる物を相手に渡してお金を受け取るのですから、傍から見れば、物の売り買いにも見えます。

そのうえ、質物の代わりに渡される金額は、質物の価値よりも低いのが通常ですから、後日、トラブルになったときなどのことを考えると、その取引が、質権の設定であることを何らかの形で証拠として残しておくのがよいでしょう。権利質も、同様に考えることができます。

icon-arrow-circle-o-right これに対して、不動産質の場合には、質権の設定が登記簿に記載されることから、別に契約書を交わさなくても、登記を証拠として利用することはできます。

また、質権は質物を引き渡すことで、効力を生じますが、質流れするまでは、もとの所有者が所有権を持っていますから、一つの物に対して複数の質権の設定することも可能です。

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例えば、Aさんが持っている10万円のパソコンをBさんに引き渡して、Bさんから8万円借りたとすると、AさんとBさんとの間で、そのパソコンを質物とする8万円の借り入れがなされたことになります。

その翌日、今度は、AさんがCさんとの間でそのパソコンを質物として、5万円を借り入れることだって可能なのです。

この場合、質物であるパソコンは既にBさんの手元に引き渡されていますから、そのパソコンに質権が設定されていることは、CさんがBさんに直接問い合わせることで明らかになるはずです。

もし、Aさんが、期限までに借りたお金を返せないときは、質権を設定された順に、質物から貸したお金を回収することになります。

icon-hand-o-up 先ほどの例だと、Bさんは、パソコンを売って貸した8万円全額を回収し、Cさんは貸した5万円のうち2万円を回収することができ、残りの3万円は無担保の貸金としてAさんに返済を求めることができることとなります。

なお、質権の設定に、質物を引き渡すことが要件とされているのは、質物に質権が設定されていることを、ほかの人にも分かるようにするという意味もあります。

icon-arrow-circle-right ですから、先ほどの例で、たとえば、Aさんが、一時的にパソコンを使う必要があって、Bさんに「パソコンをちょっとだけ返してくれ」と求め、Bさんが、親切にもパソコンをAさんに返してしまうと、質権の効力は、その時点で失われてしまうことになると考えられています。


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