契約による担保権(2)…質権とは何か

前回説明したとおり、約定担保権とは、貸したお金を確実に、かつ優先的に返してもらう手続によって設定されるものをいいます。そこで、今回から3回に分けて、一つ目の約定担保権である質権について説明することにします。

building_shichiya

ところで、皆さんは、質屋さんを利用したことはありますか。以前は、よく落語や漫画などに登場して、貧乏な家庭の奥さんが、なけなしの着物などを持っていき、僅かばかりのお金をもらって生活費に充てる…などという場面が登場しました。

近年は、ブランドもののバッグや貴金属の市場として、再び活況を呈しているようです。質屋というのは、金融業者の一種で、質権に基づいて、物を担保にお金を貸す業者のことです。

icon-arrow-circle-o-right 質権というのは、お金を借りる代わりに、物を引き渡してこれを担保とし、期限までにお金を返さなければ、その物を処分して、貸したお金に充当することができる権利をいいます。

ですから、質屋さんに持ち込んだ物は、担保として質屋さんに提供しているだけで、質屋さんに売ったわけではありません。あくまでも、お金を借りた人の物であって、期限までにお金を返すことができれば、その物を取り戻すことができることになります。

質権に基づく担保として提供できるのは、普通の動産(「動産質(どうさんしち)」)だけでなく、不動産(「不動産質(ふどうさんしち)」)やその他の権利、たとえば、株式や社債など(「権利質(けんりしち)」)も含まれます。

icon-arrow-circle-o-right 質屋さんは、「質屋営業法」という法律によって規制を受けていますが、普通の人であっても、質権に基づいて、質をとることは可能です。

例えば、Aさんが、自分の持っているパソコンをBさんに渡して、代わりに10万円を受け取り、半年後にAさんがBさんに10万円を返せば、パソコンをAさんに返すという形の質権設定契約も可能なのです。

もし、Aさんが10万円を返せなければ、Bさんは、そのパソコンを中古屋さんに持ち込んで売り払い、その代金を、Aさんに貸した10万円の穴埋めに使うことができます。

一般的には、物を担保に貸すお金は、その物の時価よりも安いはずです(時価8万円のパソコンを質に入れて10万円を借りた人は、借りたお金を返さなくても2万円儲かってしまいます)から、Bさんがそのパソコンを中古屋さんに8万円で売ったとして、残りの2万円は無担保の貸金債権として残ることにはなるわけです

icon-hand-o-up なお、不動産質の場合は、これを賃貸して賃料を取り、貸したお金の返済に充てることができますが、動産質の場合には、これを質権者が利用して収益を上げることはできません。

従って、先ほどの例だと、Bさんは、Aさんから受け取ったパソコンを使うことができず、かつ、その物の保管に十分な注意を払うことが求められます。

このページの先頭へ